NHK「ラジオあさいちばん」(2010.7.29)にて「ぐるーぷ藤」が紹介されました プリント
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NHK「ラジオあさいちばん」
2010.7.29

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福祉ジャーナリスト 村田幸子様
NHKのアナウンサーおよび解説委員を歴任。
現在は福祉ジャーナリストとして、
福祉問題を専門に取材・講演活動を続けていらっしゃいます。

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司会:

介護の現場というと反射的に人手不足という言葉が思い浮かぶ方が
多いと思います。神奈川県藤沢市で活動しているNPO法人が運営す
る介護の現場では、ここで働きたいという人が多くてこれ以上希望者
を受け入れられないといううれしい悲鳴があがっているそうです。
どのように働き手を確保しているのでしょうか。福祉ジャーナリスト村
田幸子さんにおこしいただきました。
介護現場で働き手確保に心配がないというのは、ちょっと信じられな
いんですが。(笑)

村田:

そうですよね。藤沢市にある「NPO法人ぐるーぷ藤」という団体が作り
上げた介護の現場なんです。
当時普通の主婦だった理事長の鷲尾公子さんは、ご自分の介護経験
から、自分の老後は自分でなんとかしたいと仲間と勉強会をはじめま
した。
1992年に、サービスを提供する人と利用する人が会員となり、お互い
助け合う有償のグループを立ち上げました。その後NPO法人の資格
をとって、介護保険の事業に参入し、事業を拡大。夢は福祉マンション
を建てるということだったのですが、2007年にその夢が実現し、
「ぐるーぷ藤一番館・藤が岡」と名づけました。
この「一番館」には、高齢者のケア付き住宅、精神障害者のグループ
ホーム、小規模多機能型の施設、それからホームヘルプ、訪問看護の
事業所等が入っており、現在は8つの事業を行っている複合法人です。

司会: 

事業の数が多ければ多いほど、人手の確保に苦しむのではないのか
と思いますが、なぜここではその心配がないのでしょうか。

村田:

ここではどんな事情を抱えていても、例えば親の介護をしているとか、
子育て中であるとか、閉じこもりがちだとか、障害があるとか、それぞ
れの事情に応じて働ける場を提供しようと実践してきました。
 つまりフルタイムでなくても、少しの時間しか働けなくても、働きたいと
いう人にはその場を提供しています。その結果、たくさんの事業を行っ
ているにもかかわらず、人が人を連れてくるようになり、人材募集しなく
ても人手不足とは無縁なのです。さらに女性にとっては大変働きやすい
職場を作りました。働く人をメンバーと呼んでおり、今は160人います。

司会:

それぞれの事情に応じて働けるということは例えばどういう働き方なの
でしょうか。

村田:

例えば、子どもを保育園に預けて週4日働きたいという人。つまり、この
方は夫の扶養から抜け出す働き方を希望しています。
それから、子どもが幼稚園に入ったので、週2日2時間くらい働きたい。
70歳の女性からは朝2時間くらいなら働けるという希望があり、その方
は高齢者のケア付き住宅の食事の配ぜんと見守りを担当しています。
 朝7時から9時、それから夜の6時から8時という時間帯は、家庭の主
婦にとっては一番忙しい時間帯ですから、そこを子育て後の60代、70
代の女性が支えるというわけです。メンバー全員がホームヘルパー2級
の資格を持っており、資格がない人は働き ながら取得しています。
ある74歳の女性は、以前は在宅でご主人の介護をしていたのですが、
施設に入所したので働きたいとやってきました。この方は、もともと料理
のプロであった上に新たにヘルパーの資格をとったので、今や食事作り
を必要とするお宅からひっぱりだこなんです。

司会:

しかし、この法人はいろいろなサービスを展開していますよね。
そうすると、多様なスキルをもった多くの人をそろえなければいけないと
思うんですが。

村田:

ここの働き方はメンバーの仕事の内容を限定しないというものです。
あなたは在宅ヘルパーです、あなたは施設のスタッフになってくださいと
固定するのではなく、全員があるときは在宅のヘルパーとして訪問し、
ある時は事務を行い、ある時はデイサービスや高齢者住宅で働くという
ように、すべての仕事を担当します。その理由は、働き方を固定すると
慣れが生じてスキルが上がらない。いつも緊張感をもって働いてもらい
たいからと理事長の鷲尾さんはおっしゃいます。全員がどの仕事も対応
できるので、誰かが急に休んでもすぐ他の人が交代でき、ここではあわ
てることがないと。

司会:

なるほどそういうメリットがあるんですね。

村田:

ただ、プロのサービスですので、誰が行っても同じレベルのサービスを
提供できなけれ ばなりません。そのために研修に大変力を入れており、
みんなのスキルを一定に保つようにしています。
ちなみに2009年度の研修は、内部研修72回、外部研修68回、その費
用はすべてNPO法人持ちです。加えて、トップリーダーには海外研修も
義務付けられているという充実ぶりです。

司会:

とても充実していますね。今までのように、フルタイムでなくてはならない
とか、スキルはひとりひとり分断するといった従来の仕事の考え方から離
れたところで、多様な働き方が可能になっているのですね。

村田:

そうすることで働く人の満足度が高いわけです。それは、利用者の満足
につながります。同時に地域に雇用の場を作りました。かつて福祉事業
を行うのは、大きな社会福祉法人というのが当たり前でしたが、介護保
険スタート後は、さまざまな団体が介護の現場を担うようになり、その中
心となっているのは概ね普通の主婦と呼ばれていた人たちです。
その人たちは、固定観念を打ち破って、従来にない発想で福祉を担って
いますので、これまでの福祉現場に大きな影響を与えはじめています。
慢性的な人手不足に苦しむ介護の現場もこうした新しい風が大きなうね
りとなって変わっていくのではないかな、そんな手ごたえを感じる活動です。

司会:

福祉ジャーナリスト村田幸子さんにおうかがいしました。
ありがとうございました。

 
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